第1回 日経ARアワード 表彰式レポート | NIKKEI AR AWARDS
グランプリ

「家族時間が、生まれる家」

受賞者:大塚佑治氏(電通アドギア)

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  • 【審査員コメント】

    審査員一同が素直に「一番やってみたい」と思った企画。ひな祭りは準備や飾りつけに手間がかかるが、ARで階段がひな壇に変われば、忙しい共働き子育て世代でも簡単に楽しめて家族の時間を作り出すことができる。新聞や住宅との相性も良く、グランプリにふさわしい作品だった。

    (多摩美術大学教授/コミュニケーション・ラボ代表 佐藤達郎氏:審査員長)
  • 【受賞者コメント】

    アイデアを考える時、「新しい習慣をつくるときは昔からある習慣に学ぶ」というスタンスを大事にしている。
    ARのような新しい技術が一般に普及するには、その技術が普段の生活の中で使われていく必要があるが、今回のアイデアも、新しい技術を昔からある家族行事に活用し習慣化する方法の一つとして考えた。

※グランプリを受賞した「階段にARをかざすとひな壇に変わる」というアイデアを、実際に階段の模型にタブレットかざして実演しました。下記で動画がご覧いただけます。
審査員特別賞

「スリッパ、お借りしてもイイですか?」

受賞者:久古はる香氏(博報堂DYメディアパートナーズ)

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  • 【審査員コメント】

    当初はグランプリ1点を選ぶ予定だったが、審査会で最後までこの作品と拮抗したため「審査員特別賞」を設けて表彰することにした。ARの表現アイデアだけでなく、スマホ画面のスクリーンショットを撮ってSNSでシェアしたくなる仕掛けまで企画に入っている点がとても良かった。

    (電通クリエーティブ・ディレクター 佐藤雄介氏)
  • 【受賞者コメント】

    毎日家のリビングで新聞を隅から隅まで読んでいる両親を想像しながらこのアイデアを考えた。どのような体験だったら両親の手と心を動かすことができるかを考え、企画したものが特別賞を受賞できてとても嬉しい。今後もテクノロジーを活用した新しい体験を広げていく企画を立てていきたい。

旭化成ホームズ賞

「せんたくもの、きれいにたためるかな?」

受賞者:関透真氏、木下顕志氏(グループ:ADEX 日本経済広告社)

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  • 【審査員コメント】

    家を建てる目的は「家族が家族する」ためと思っている。ワーク・ライフ・バランスでは、家は「ライフ」と思われているが、家事は当然「ワーク」だ。家事を軽減して家族時間をつくるため、「ワーク」を子どもが楽しめるコンテンツにして「ライフ」に変えたアイデアが秀逸だった。

    (旭化成ホームズ マーケティング本部営業推進部長 中村干城氏)
  • 【受賞者コメント】

    子供の頃、洗濯物のたたみ方を親に教わってこなかった。これは親とのコミュニケーションの機会を逃していたのだと気付いたことがこのアイデアのきっかけになった。ARを通じて親と子の素敵な記憶として残っていくものは何かと考え、それが評価されたことが非常に嬉しい。

川崎重工業賞賞

「乗り物プラネタリウム」

受賞者:長谷川まどか氏、髙瀬基氏、福島祥子氏(グループ)

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  • 【審査員コメント】

    「カワる、サキへ。」というキャッチコピーに込めた想いを表現してほしいという課題に、多くの優れたアイデアが寄せられ、選ぶのに非常に苦労した。わが社の乗り物などの製品がARでプラネタリウムのようにいろいろな角度から現れるアイデアはロマンチックで魅力的だった。

    (川崎重工業 コーポレートコミュニケーション部長 鳥居敬氏)
  • 【受賞者コメント】

    この企画の目的は子供が新聞に触れる機会を作ることと、川崎重工業が子供が大好きな乗り物を作っている会社ということを知ってもらうという2つ。子供でも感覚的に理解できたり、身近なものをより身近に感じることができるソリューションとしてARは最適な手段と感じた。

テレビ東京/BSテレ東賞

出川哲朗の「リアルガチな天気予報」

受賞者:齋木悠氏、奥野玉枝氏(グループ:アデックスデザインセンター)

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  • 【審査員コメント】

    出川哲朗さんが日本全国へ飛び出し、リアルガチに地元のあたたかさに触れる番組が題材。
    人との巡りあい、未知の世界との出会いという番組のテーマと、アウトドアに不可欠な天気予報の情報をマッチさせたアイデアで、ユーモアにあふれ、かつ実用性が高い点を評価した。

    (テレビ東京 広報局次長兼広報部長 天田晶子氏)
  • 【受賞者コメント】

    以前からこの番組の大ファンなので、新聞紙面の上を電動バイクで走り回る出川哲朗さんを見てみたいと思ってこのアイデアを考えた。企画を検討している時もワクワクして、とても楽しかった。このような賞をもらえてリアルガチに嬉しい。

日本経済新聞社賞

「CSAR」- ARを活用した新しいCSRアクション

受賞者:奥村誠浩氏、高橋理氏、金林真氏(グループ)

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  • 【審査員コメント】

    新聞というメディアと親和性が高いアイデア。災害の記事からARで現地の映像などが流れるという多様性のある報道に加えて、一つのアプリ画面の中で被災地への寄付ができるという、社会貢献性の高いアイデアが素晴らしい。CSRとARを組み合わせた「CSAR」という造語も良い。

    (日本経済新聞社 専務取締役メディアビジネス統轄 平田喜裕)
  • 【受賞者コメント】

    ちょうど企画を考えている時期に台風19号の被害が起こった。自分自身が阪神大震災を体験したこともあり、日々の行動のバックグラウンドでARという新しい技術を活用するにはどうすれば良いかと考えた。世の中を変えていけるようなものを作りたいという想いで企画した。

パネルディスカッション

グランプリ審査員によるパネルディスカッションでは、今回の審査を通じた全体の感想や受賞作品以外で印象に残ったアイデア、今後の「新聞×AR」に期待することなどが意見交換されました。

Tatsuro Sato

佐藤達郎(多摩美術大学教授/コミュニケーション・ラボ代表)

今回が第1回目の開催だが、非常に多くのアイデアが寄せられた。審査では着想の斬新さと、企画内容の面白さの両方がそろった作品が高い評価を得た。
日経ARのコンセプトは「新聞を体験する」ということだが、広告やマーケティングの世界でも「体験」は重要なキーワード。ARを使った新聞広告で何か面白い体験ができるとなれば、普段新聞にあまり触れていない層でも、改めて新聞広告に関心を持つきっかけになるかもしれない。

Shun Kubota

久保田瞬(Mogura 代表取締役社長)

ニュースはウェブで見る人が増えているが、それでも新聞を読む、紙だから読むという人は多い。新聞のフォーマットをARで拡張することで新しい価値が生まれる。
今のARはスマホが中心だが、今後期待できるのはメガネ型のARグラス。いちいちスマホを取り出さなくても日常生活の中でAR体験ができる。まだ一般に浸透するには時間がかかりそうだが、技術は日進月歩で進化しているので、次回のアワードでは今までにない空間表現のアイデアを期待したい。

Yusuke Sato

佐藤雄介(電通 クリエイティブ・ディレクター)

話題になる広告はSNSに載った投稿が拡散することが多いが、日経ARはスマホなのでスクリーンショットを取りやすく、簡単にSNSに投稿できる。「見て終わり」ではなく、やってみたくなるか、シェアしたくなるかという点を意識して審査に臨んだ。
新聞とARの組み合わせは非常に親和性が高い。印刷された紙面を起点に表現をいろいろ膨らませられる。これからAR技術もどんどん進化していくので、次々と新しいアイデアが出てくる可能性を感じる。

Junichi Nakazawa

中澤純一(ENJIN 代表取締役社長)

寄せられたアイデアはいい加減なものがほとんどなく、応募してくれた方々の意欲と一生懸命さが伝わってきた。審査にあたっては、企画の内容だけでなく「実際にスマホをかざしたいと思うか」という点を意識した。
ARというと映像というイメージが強いが、「音」をフィーチャーしたアイデアが印象に残った。「新聞広告を聴く」という発想が面白い。今後、技術が進化して五感全体を刺激するようなARが出てくると、表現アイデアの幅もますます広がってくる。